海外移住・海外生活のための相続


近年、海外移住や資産を海外に移すニュースが増えていますが、果たして簡単に出来るのでしょうか。また、定年後に海外移住をされる方/日本にご両親を残して若くして海外移住される方、それぞれの思いや心配があります。そこで、海外移住に関わる相続についてご紹介します。

海外移住・海外生活のための相続

海外移住をすれば相続税がかからない?

残念ながら、海外移住をするだけでは相続税の課税外にはなりません。原則として日本国外財産は日本の相続税の課税対象になりますが、日本国籍を持つ方で「被相続人(財産を残す人)」と「相続人(財産を受け取る人)」の両方が日本非居住者で5年以上の場合のみ海外の財産に課税はされないことになっています

つまり、海外の財産に課税されないためには「財産を残す人」と「財産を受け取る人」が共に5年間、海外に生活拠点を移す必要があることになるので、単純に海外移住や海外に資産を移すだけは課税対象から外れることないことになります。富裕層の間では家族・親族ともにシンガポールなどの海外に生活拠点を移すことも多いそうですが。

関連サイト:
相続と税金(国税庁)
No.4102 相続税がかかる場合(国税庁)

相続税はいくらかかるの?

亡くなられた方から相続人等が相続や遺贈などで取得した財産が基礎控除額を超える場合にかかります。基礎控除といわれる一定の控除以外にも様々な控除があるので、国税庁などのサイトで該当する控除を確認する方がいいでしょう。

コツとして税務署でも相談には応じてもらえますが、相続税額を計算は自分でしなければいけないことになっています。そのため、資産を多く持たれている方や海外資産を持たれている方は税理士に相談してもいいですね。

関連サイト:相続税の計算と税額控除(国税庁)

相続が発生した場合の手続き

死亡届は市町村の役所に届けますが、それ以外にも国民年金や国民健康保険などの各種変更手続きなどが必要になります。また、相続税の申告と納税については被相続人(亡くなった方)の死亡から10ヶ月以内に被相続人を管轄する税務署にておこないます。

その他にも所得税/消費税の申告するべき方が年の途中でなくなった場合、相続人は被相続人が死亡した日の翌日から4カ月以内に被相続人を管轄する税務署に確定申告(準確定申告)をする必要があります。

関連サイト:相続税の申告と納税(国税庁)

被相続者(財産を残す人)が海外に居住している場合

原則として日本国籍を有する者が海外移住先で亡くなった場合には、日本と現地国の二重で相続にかかわる税金を納めなければならない可能性があります。その場合、二重に課せられた税金を取り戻す外国税額控除が適用されます。但し、現地国に相続税に該当する税がない場合は、現地国での課税は対象外となります。

また、日本と現地国で租税条約を締結している場合は、その内容に従うことになります。その際の相続税に関する外国税額控除の計算は複雑であるため、 税務署か税理士さんのような専門家に確認した方が良いでしょう。

相続者(財産をもらう人)が日本に残したご家族を亡くした場合

原則として海外移住者が日本国籍を持っている/持っていないに関わらず、ご家族が日本に一定以上の財産を所有している場合は 日本での納税が必要になります。また、上記と同様に移住先でも課税対象となる可能性があります。

関連サイト:No.4138 相続人が外国に居住しているとき (国税庁)

日本国籍のない海外移住者が日本に残したご家族を亡くした場合

例えば、国際結婚をして日本国籍を有していない場合や国籍を変更されている場合は、今まで相続税は課税対象外でしたが、平成25年4月1日以後の相続・遺贈又は贈与については国外財産についても相続税の課税対象になりました。

関連サイト:平成25年度相続税改正 国外居住者・国外財産に課税(All Aboutより)

海外にある不動産と相続の関係

海外移住・海外生活をしている方で海外不動産を購入されている場合、その不動産の名義人が誰になっているかが関係してます。被相続人と相続人が共同名義で購入した物件か、被相続人名義で購入した物件かなどで評価方法が変わってきます。原則として不動産価格は時価で評価され、現地の不動産鑑定評価額や周辺の売買実勢価格などから算定します。

関連サイト:ハワイ州に所在するコンドミニアムの合有不動産権を相続税の課税対象とすることの可否(国税庁)

海外にある資産の評価方法

海外にある財産の評価方法は日本の財産の評価方法と同じです。原則は相続税法財産評価基本通達に基づく評価にもとづきますが、特例として上記に準ずる方法として売買実例価額などが挙げられています。ただし、海外資産の場合は日本の基準では評価できない場合が多いため、税務署が認める資産の価額計算や邦貨換算することが必要となります。

関連サイト:
財産の評価目次一覧<その他の財産の評価関係(国税庁)>
海外送金と相続税の税務調査(All About)
相続税の評価・国外財産の評価はどうなる?(All About)

相続の準備は早めにしておきましょう

海外移住・海外生活をしている場合は、急に親族が亡くなって相続が発生することがあります。その場合、一時帰国して葬式や相続などを短期間で済ませなければいけない可能性もあります。実際に私の父親が亡くなったときは、一時帰国の2週間で全てを終えるのに苦労しました。

残念なことではありますが、できれば資産の把握や手続きの流れを準備をしておくことは海外移住・海外生活では必要なことかもしれません。