海外でも年金は受け取れる?加入している年金はどうなるの?海外移住のための国民年金

海外移住で気になるのは、海外でも年金がもらえるのかどうか?や現在加入している年金はどうなるのか?でしょうか。まずは国民年金の仕組みを知った上で、老後の安心のためにも年金について考えましょう。

国民年金は、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務づけられていることが原則です。 国民年金以外にも会社などに入社した場合に加入する厚生年金があります。

国民年金:日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人。
厚生年金:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人。
共済年金:公務員・私立学校教職員など。(※現在、一元化されました)

つまり、日本国内に住所登録をされていない海外移住者は加入義務がないということになります。そのため、海外転出届を提出すると住民登録が抹消されるので、国民年金の手続きは不要となります。

国民年金の基礎知識

国民年金をもらうためには?

国民年金保険料を支払っていることが前提となりますが、原則として年金の受給資格期間である25年間(300ヶ月)を満たしている必要があります。仮に20歳から60歳までの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から年間で満額(平成24年度約78万円)受け取ることができます

近年、受給資格期間である25年間を10年間に短縮する法案が可決され早期実施が見込まれています。

また、年金の支給開始は一般的に65歳からですが、自動的に年金が支給されるわけではありません。年金を受け取るためには「国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書」(年金請求書)を年金事務所等に提出することが必要となります。

国民年金を海外で受け取れるの?

国民年金を受け取ることができるようになったとき、海外の現地銀行口座で受け取ることができます。ただし、注意したいのが、振り込まれるのは日本円ではなく現地通貨に日本円から外貨両替されます。その際、外貨両替手数料が差し引かれます。

海外に居住して年金を受け取る場合の手続きは国内と同様に届書「年金の支払を受ける者に関する事項」に必要事項を記入します。その他に滞在国が租税条約を締結している場合は別途、届け出が必要となります。租税条約については下記でご紹介します。

関連サイト:海外移住で年金の受け取りや手続きはどうする?(All About)

今まで払ってきた分の年金はもらえないの?

では、国民年金の加入義務がなくなった時点で、今まで支払ってきた分の年金はもらえないのか?ということを思われるかもしれませんが、日本国内に住所を置いていない期間は加入している期間として取り扱う(いわゆるカラ期間)になり、この期間分の年金額は少なくなりますが、最低25年間という必要な加入期間に含めるということになります。

国民年金に任意で加入する方法がある?

日本国内に住所がない場合は国民年金の加入義務がありません。但し、将来の生活が不安など、さまざまな理由で年金の加入を続けたい方もいらっしゃるでしょう。そこで国民年金に任意で加入することができます。任意加入をすることで少なくなるはずだったカラ期間分も年金額に反映させることができます。

手続きは、これから海外移住される方はお住まいの管轄する市役所へ、すでに海外移住されている方は年金事務所にて届け出ます。納付方法は、本人の代わりに国内にいる親族等の協力者が納付する方法や日本国内に開設している預貯金口座からの引き落とす方法、クレジットカード支払いがあり、加入日の月から支払う必要があります。

また、海外から転入する場合も転入日が加入日となります。国民年金保険料は1か月当たり15,250円です(平成26年度)。また、扶養者がいる場合は各自で届け出が必要となり、特に配偶者は第3号被保険者から第1号被保険者への変更手続きが必要となります。

気をつけたい国民年金の免除・納付猶予・追納制度

国民年金保険料の支払いが経済的に難しい場合、手続きをすることで保険料の免除や納付猶予が出来ます。免除や猶予になった期間は年金の受給資格期間(25年間)に算入され、免除に限り受取の年金額が納める金額により少なくなります。

また、受給する年金額を増やすには保険料免除や納付猶予になった保険料を後から納める(追納)をすることができます。しかし、この制度は任意加入をしている場合は使用することができません。

つまり、海外転出届を出している海外移住者は免除や納付猶予ができないということになります。逆に、海外転出届を出していない場合は免除や納付猶予が出来る可能性があるということになります。

その他に、時効(原則2年)で納めることができなかった(未納)国民年金保険料について例外的に過去5年分まで納めることができる(平成30年9月30日まで)「後納」という制度があります。しかし、国民年金に加入していないと未納には当たらないため、後納制度を使用することができません

既に海外生活をされている方の中にはカラ期間分の年金額を増やすために、後から保険料を納付すればいいと考えている方もおられますが、そもそも後納は出来ないので注意が必要です。

国民年金の大切な役割(障害年金と遺族年金)

国民年金というと、将来の老後生活のため年金という大切な役割がありますが、その他にも気にしておきたい役割があります。それは、「障害年金と遺族年金」です。

障害年金は病気やケガのため、一定の障害状態にある間に支給される年金。遺族年金は本人が亡くなったとき、亡くなった方によって生計維持されていた一定の要件を満たすご遺族に支給される年金です。支給要件などはご確認いただきたいのですが、どちらも本人や家族のための重要な年金です。

老後の年金支給額、これからの支払い能力だけではなく、実は国民年金に任意加入するかどうかは、本人や家族が万が一のために考慮した上で決める必要があります

国民年金と社会保障協定の関係

社会保障協定とは海外に勤務する日本人を対象に年金の掛け捨てや保険料の二重払い等を防ぐ目的で国同士が取り決めです。例えば海外勤務をすると、日本と源泉国(勤務先の国)で二重に社会保障制度に入ることになるので、いずれ日本に帰国する場合は無駄になってしまいます。

そこで、この場合は日本の社会保障制度を継続して、勤務先の国では年金加入を免除するなどという仕組みが取り決められています。まずは日本と給与が発生する国(勤務先の国)に社会保障協定が結ばれているかを確認しましょう。

平成25年8月の時点ではドイツ,英国,韓国,米国,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,イタリア,アイルランド,ブラジル,スイス,インドとなっています。

但し、対象は日本に帰国することが前提なので派遣期間の基準は原則5年以内と定められているようです。日本の会社から派遣されて海外勤務をされていた方は通算期間になっているか等を確認した方がいいでしょう。

国民年金と租税条約の関係

租税条約とは、簡単に言う国同士で税の支払いをどちらの国で払うのか?等を決めている条約です。

例えば協定相手国に居住している人が日本の年金を受給する場合、年金に対する所得税は年金条項のある租税条約を締結している場合、協定相手国で課税対象となり日本では非課税となる場合があります。締結していない場合は日本と相手国の両国に税金を納めなければならない可能性があります。

相手国で申請する場合は、日本年金の申請書は相手国の実施機関に備え付けてあるそうです。その申請書を相手国の実施機関に提出します。日本で申請する場合は、協定相手国の期間を通算して要件を満たすこと、日本の年金事務所または年金相談センターに日本年金の申請書を提出しましょう。

現在はドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイスと協定を結んでいます(平成26年時点)。

関連サイト:日本年金機構