今日はニュージーランドと日本の不動産投資の違いについて、両方の経験者がお話したいと思います。
海外移住を考えていらっしゃる方には、特に不動産投資がオススメです。
というのも、世界中のどこにいても、今や基本的にスマホひとつでできてしまうのが大家さんだからです。
(物件を日本で買う際には、現地の近くで決済をする必要があります。ちなみにニュージーランドの物件は、日本にいても公証人役場にいく以外は、ネット上で売買を完結できます。)
駐在員でもない限り、海外移住をする際に、仕事や収入の不安がある方も多いと思いますが、不動産投資はその大きな助けとなってくれます。
いざ海外に行って、いきなり仕事を探し始める必要もありません。
家賃収入を得ながら、のんびりと1~2年現地の学校に通い、それから仕事探しをスタートすることも可能になるのです。
まずは不動産投資の基本
不動産投資は基本的に、適切な物件を買うことから始まります。
銀行から融資をひき、支払ってもらう家賃から金利や経費を除いた後の利益が収入となるので、事前の綿密な計算や調査が必要とされるのです。
でも、驚かないでください。今は計算ソフトが色々とありますので、簡単な算数がわかれば大丈夫です。
とはいえ、不動産投資は投資とはいっても、実は経営に近いものがあります。
なので、ある程度のビジネスを始めるのだ、という心づもりも必要になってくるかと思います。
例えば私の場合は、初めてニュージーランドで買った家は銀行から融資をひきました。
当時は頭金を1割ほど入れれば、残りは借り入れができましたが、年々融資が厳しくなっており、確認が必要です。
貸し出して、家賃から経費や金利をのぞけば、日本円でおおよそ10万ぐらいの収入になったので、移住当初は助かりました。
いくらの収益を生み出すのか?
家の購入は大きな買い物ですから、まずはいくらの収益を生み出すのか計算をしてみるのが第一歩です。
表面利回りと実質利回りの違い
表面利回り(Gross)
表面利回りとは、ざっくりとした利回りを知る方法です。
例えば2000万の家賃が20万だったとすると以下の利回りになります。
年間家賃÷物件価格×100%
240万÷2,000万×100%=12%
日本の地方では表面利回りで12%というのが、ひとつの目安になってくるかと思います。
東京23区などの都心部であれば、表面利回り8%未満というのは、購入対象外となります。
というのも、実際にはここから経費や金利、保険料などを引いた税引き後の手残りがかなり少なくなってしまうからです。
実質利回り(Net)
実質利回りとは、上記でも触れたように、実際に家賃をもらい経費をひいた税引き後に得られるのがいくらなのかを元に計算されます。
私が日本で買った物件だと実質利回りは、5.42%となっております。
ニュージーランドの場合は表面利回りはもっと低くて、3.9%ほど。オークランドという経済の中心地で、シティーからは車で30分ほどの距離でした。
ただこれだけに注目すると、日本の方が利回りがいいように思えるかもしれませんが、次にご説明するように、ニュージーランドでは住宅の価格も取れる家賃も年々増えていくことから、一概にはそうも言えません。
実質利回りに注目だが、ざっとスクリーニングは表面利回りで
物件を買うときは、スピード勝負です。ぐずぐずしていると、他の投資家さんに買われてしまいます。
それに不動産サイトを見て、まず自分の基準としてふるいにかけるときには、表面利回りが便利です。
大抵の不動産サイトには、表面利回りを入力して12%以上などと検索をかけることができます。
なので、表面利回りも実は便利なのです。
ニュージーランドで物件を探す際は、この表面利回りでざっと計算し検討に値するかどうかを繰り返しました。
最初は日本の表面利回りになれていたので、7%とか低いなと躊躇していましたが、次で触れるように基本的にどんどん値上がりしますので、決して低くはありませんでした。
売却益
上記で説明した実質利回りをインカムゲインだとすると、買った値段より高く売れればキャピタルゲインを狙うことができます。
日本の住宅価格推移と空き家問題
残念ながら一部の東京都心や大都市の一部を除いては、日本の戸建ては価格が下落しています。
空き家問題は今でも大きな社会問題ですが、これからますます空き家が増えるということが統計からもみてとれます。
出典:総務省統計局 平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要から抜粋
そうなれば供給がますます需要を上回りますので、住宅価格の下落傾向は避けられないものと思われます。
そうするとせっかく高い利回りの物件を買っても、売却する際に買った値段よりも低く売ることになるケースも多いので、毎年手にしていた利益から売買差額を差し引いたものとなることも頭に入れておいたほうがいいでしょう。
都心のマンションはこの限りではなく、大幅な上昇をみせています。
うまく売買ができればキャピタルゲインも見込めますが、マンションは管理費や大規模修繕積立費などの経費もかかりますので、それも計算にいれておきましょう。
ニュージーランドの住宅価格推移
ニュージーランドの場合、リーマンショックなどの一時的な下落はあるものの、基本的に右肩上がりに住宅価格は推移しています。
NZ住宅価格インデックス
出典:国際決済銀行
こちらは1980年からの統計ですが、大体7~10年で2倍になるということを繰り返しています。
コロナと金利上昇のため、2022年をピークに少し下げていますが、それでも長期間で見ると上昇基調に変わりはありません。日本では考えられない状況です。
マンションやアパートなどよりも、戸建ての方が上昇率が高いのが、日本とは違った状況です。
家賃の推移
家賃も日本とニュージーランドでは正反対の現象が起こっています。
日本の家賃推移
日本の家賃は住宅価格と同様に、一部の地域を除いては年々下がっています。
なので日本で不動産投資をする際には、この家賃の下落率というのも含めてシュミレーションをおこなった方がよいでしょう。
ニュージーランドの家賃推移
ニュージーランドの場合、家賃もぐんぐんと上がっていきます。実際に入居者さんが変わるたびに、月5,000円ぐらいあがっていって、最終的には買ったときより7年で家賃が月に32,000円ほど増えていました。
これは実は借りる側には大きな問題にもなっていまして、値上がりに耐えられない人はどんどんと郊外へ逃げていたのが現実です。
私はオークランドという一番人口の多いところで物件を買いましたが、他の都市もオークランドほどではないにせよ、同じような状況のようでした。
結局どっちが得なのか?
これは不動産投資をする人によって違ってくると思います。
日本の利回りの高い物件を買って、自分が投資した現金を早く回収してしまった方がいいと考える人と、ニュージーランドのようにキャピタルゲインも狙って、プラスのキャッシュフローの物件を買って、両方の面で利益を得たいという人もいるでしょう。
私はどちらかというと、ニュージーランドの方があっていたようでした。
☆注意!ニュージーランドでは現在、永住権者以外は中古物件が買えない
法律の改正がありまして、実は現在ニュージーランドの中古物件は永住権を持っていない外国人は買えなくなっています。
オークランドでは新築の値段も上がっており、おそらくよほど選ばないとマイナスのキャッシュフロー(自分の手には利益が残らず、他の収入で経費や金利を補う必要のある状態)となってしまうでしょう。
まだ地方なら新築でもプラスのキャッシュフローがでることもあるかもしれませんが、なにせ移民などで人口が増えている上に、住宅着工許可がなかなかおりないので、物件の価格は基本的にあがる一方です。
それで政府が住宅価格の上昇を見かねて、外国人は中古物件を買えなくなったという背景があります。
アメリカやカナダなどでニュージーランドの応用ができる
個人的にはやはり中古物件を狙いたいので、もうニュージーランドではなく、アメリカやカナダに買うのがいいのかなと思っています。
フィリピンのマニラやセブ島なんかも似たような状況ですし、英語圏ですのでシステムや不動産に対する考え方も応用できます。
他のアジアの国も日本以外は状況はニュージーランドに近いようですが、なにせ言語の壁があるので、よほど信頼できる不動産投資会社を見つけるか現地の言葉を学ばないと参入は難しいでしょう。
オーストラリアの新築物件で、かなりよい利回りのものがメールで出回っていたことがありますが、すぐに売れてしまったようです。
オーストラリアなら、まだ新築でもいい物件があるんだなと印象的でした。(オーストラリアもニュージーランド同様、永住権者以外は中古物件を買えません)
まとめ
いかがだったでしょうか?
海外移住を考えていらっしゃる方は、まず住みたい国の物件を買って現地通貨を家賃としてもらい、現地の銀行に預金しておくこともできますね。
もしくは日本の物件を買って、言葉の面でストレスフリーの投資をおこない、収入を確保するのもいいかもしれません。
まずは色んな書籍やブログ、セミナーなどがあるので、興味が出た方は一歩踏み出してもらえると幸いです。