これまでにも海外資産に対しても税徴収をするという動きがありましたが、ついに日本政府が海外居住者の税徴収に乗り出しました。
今回、Yahoo!ニュースのトップに掲載されいたのが、税条約を締結しているオーストラリア在住の男性に8億円もの滞納贈与税を徴収した、という記事。
そこで、今回は「租税条約や海外における贈与と相続の関係」をご紹介します。
海外資産を持つ方は要注意!
租税条約を簡単に言うと日本と外国との国家間で税や金融資産の情報をやりとりや、税が2重に課税されないように調整する取り決めです。
本来は良い意味で租税条約はあるのですが、オーストラリアと日本は租税条約を締結しているので、今回は現地の金融資産情報交換だけでなく、税徴収も可能ということになったようです。
海外居住者の贈与税と相続税はどうなるの?
原則として日本国外財産についても、日本の贈与税の課税対象になります。但し、日本国籍を持つ方で「被贈与人(贈与する人)」と「贈与人(贈与される人)」の両方が10年以上継続して非居住者であった場合のみ、海外の財産に課税されません。
つまり、海外の財産に課税されないためには
「贈与する人」と「贈与される人」が共に10年間、海外に生活拠点を移す必要がある
ということになります。
単純に海外移住や海外に資産を移すだけは、課税対象から外れることはありません!
関連サイト:No.4432 受贈者が外国に居住しているとき(国税庁)
今回、詳細は不明ですが、男性が日本居住者や非居住者にかかわらず、贈与や相続する方が日本居住であれば課税された、ということなのでしょう。
今までであれば、海外にある資産に対して課税するということはできるけれど、実際には実行していなかっただけだったとも言えます。
日本居住者が海外資産を持っているときの注意点
さらに、日本居住者であれば国外財産調書制度で5,000万円以上の資産を所有していると毎年、国に資産を報告する義務があるので注意が必要です。
関連コラム:提出していないと罰則も。注意したい海外移住・海外生活のための国外財産調書制度
まとめ
昔は海外に財産を移して課税を逃れようとするということが多かったですが、最近は租税条約による金融資産情報のやり取りや、贈与税・相続税の見直しでほとんど難しくなっていますね。
特に、相続する側(例えば、親)も10年間海外居住の必要があるので、簡単に海外に資産を移せばいいというわけでありません。今後も海外資産に対して徴収がされていくことが増えるでしょう。